「技能実習制度」は人身売買!? LIEFフィードバックの活用よりももっと大事なことは? 実地指導がオンライン化だけでいいの?

久しぶりにブログを書きました。
前回ブログを書いたのはもう5年前で、その時のブログがこちらになります。

ホリエモン「介護のような誰でもできる仕事は永久に給料上がりません。いずれロボットに置き換わる」
https://blog.caretree.jp/2016/08/537/

5年ぶりにブログを書こうと筆をとったのは、最近、外国人材、LIFE、実地指導といった様々な観点から介護ソフトの在り方についていろいろと考えたことがあり、皆様に共有したいと思ったからです。


①外国人材

アメリカの国務省が「技能実習制度」は人身売買であると指摘した、という旨のニュースが昨年報道されました。

この指摘の是々非々や内政干渉なのではないかといった議論はさておき、そもそも介護人材不足という社会課題に関して、外国人材に頼るというのは本当に良い解決方法なのかというところに疑問に感じています。

現在のコロナ禍でなかなか外国人が日本に来られないということもありますが、仮に来られたとしても、言語の壁や文化の壁といった障壁があるため、直接人と接するサービスに従事するのには限界があると思います。

実は私自身、28年前に就労ビザでITエンジニアとして来日し仕事をさせていただきましたが、「直接人と接するサービス」ではなかったためなんとかやってきました。たとえば建築業や製造業であれば外国人でも可能だとは思いますが、介護業界で働くのは正直言って限界があると思います。

では、将来的に介護人材が約38万人不足するという、いわゆる2025年問題はどう解決すればよいのでしょうか。

厚生労働省の推計によれば、2025年に必要とされている介護人材253万人に対し、供給される見込みの介護人材は約215万人程度です。したがって何も対策がとられないまま時間が経過した場合、単純計算で介護人材が約38万人不足するということになります。

要は、2025年になると介護人材が15%足りなくなるということです。シンプルに考えた場合、介護現場の生産効率を15%上げることができれば問題解決につながります。しかし介護現場はすでにいっぱいいっぱいで、日々の仕事をこなすのでさえも大変なので、そう簡単なことではありません。

だからこそ、今後は国も推進している科学的介護、IoT・Robot・AIなどによる介護DX推進で解決していくしかないと思います。また、生産効率アップに合わせた人員配置基準緩和など、制度調整も不可欠です。

弊社「ケア樹」の事業のコンセプトは、自社の生産効率化により良質な介護ソフトを低価格で提供し、介護事業者が介護ソフトで節約したお金を介護DXに投資してもらい、介護現場全体の生産効率をアップさせることで少しでも2025年問題の解決に貢献することです。


②LIFE

令和3年6月より、介護事業所に対してLIFEフィードバックデータの提供が開始しました。これからPDCAでどんどん科学的介護を進められると思います。今後はLIFEのフィードバックデータを活用していくことも大事ですが、もっと重要なのはフィードバックの元、つまりデータ入力の標準化だと考えます。

主観的かつ定性的な入力では、いくら分析しても正確な結果は得られません。入力の客観性と定量性が大切です。入力の標準化とセンサーによる自動化は必要不可欠です。データの量よりも質が大事です。LIEFの上流部分をしっかり整備すれば、PDCAでどんどん科学的介護を実現できると思います。そのためにも、国とメーカーが一体となって、データ入力の標準化を進めるべきだと思います。


③実地指導

こちらの「介護事業所の実地指導、名称を「運営指導」に変更 厚労省 新年度からオンライン対応を容認」という記事を拝見しました。
https://www.joint-kaigo.com/articles/2022-03-10-2.html

また、厚労省の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」(総務課介護保険指導室)の資料にもP2に以下のことが書かれています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000908744.pdf
1 指導監督業務の適切な実施について
(1)介護保険施設等指導指針及び実地指導マニュアルの改正について
○運営指導の標準化・効率化を推進する観点から、以下について明記する。
・電磁的記録により管理されている書類等のディスプレイ上での内容確認

介護は制度ビジネスであるため、行政の事業運営指導ありきだと思います。また、従来の紙ベースのシステムからオンラインベースへの切り替えは大きな前進だったと思います。今後は介護ソフトへの対応も待たれます。介護ソフトに事業者用アカウントの他に行政用アカウントも作成できるようにすれば、行政側からの確認も可能になります。確認プロセスに事業所許可が必要かどうかといった点など、細部についてはもちろん検討が必要です。ただ方向性としてはこれを実現できれば、お互いの時間と労力を節約することができ、よりクオリティーの高い介護サービスの提供が可能になるのではないかと考えています。

2022年春